暇人に捧げるブログ

著者 大判焼き

思いつきの小説 吾輩は亀である 3話

吾輩は亀である。名前もないが運もない。

吾輩と同じくらい運のないこの若い猫はサバ缶という。

サバ缶は一年ほど前に、あの人格破綻者のご主人が気まぐれで拾ってきたらしく、

長く一緒に住み苦労している分、ずいぶんと老けて見えるようである。

 

サバ缶は白く美しい毛並みをしているが、それがご主人の目に止まったのが運の尽きであった。

拾われてからというもの、サバの缶詰を口移しで食わされたり、毎日風呂に入れられて悲鳴をあげたりと気の毒で見ておれない。

吾輩が思うに猫好きには人格破綻者が多いようである。

 

いまサバ缶は、日差しが差し込む中で仰向けにぐっすりと眠り、ご主人が帰って来るまで束の間の平和を謳歌しているのである。